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KAPATIRAN TIMES No.45

私たちは一人ではない

理事長 牧野兼三


近年、世界では中長期的な経済・社会構造の変化が起きており、それに伴うさまざまな形の格差と分断が加速しています。また、コロナ禍によってもたらされた世界中の個人主義の高まりは、ややもすると「自分さえよければ、人のことはどうでもいい」という人間の相互理解や共感の希薄化を招き、さらには社会に様々な孤立や対立の芽を生む危険性を孕んでいます。

そうした中、この春、カパティランは新たに2名の学生を社会に送り出すことができました。ひとりは大学を卒業し、空港の地上職員として働きます。もう一人は高校を卒業し、来年度以降の進学に備えて、まずは自分で学費を蓄えるため、お弁当屋さんで働きます。このことは、私たちにとって何よりも大きな喜びであり、誇りでもあります。

彼女たちは、この数年間、奨学金を受け取りながらも日常生活の中でさまざまな課題に直面し、その中で成長を遂げてきました。ごはん会、キャンプ、ホームステイなどのプログラムを通じて、新たな友情や経験を得ると同時に、自己の新たな可能性を発見することができました。

   カパティランの働きにおいて、最も大きな関心ごとであり、モチベーションとなるのは、支援している学生の数や、皆様にご支援いただいた金額などの数字ではありません。私たちは、常に一人ひとりの学生たちが直面している課題とは何かを理解し、その解決とそれを通じた学生たちの成長と発展に深い関心を寄せて議論を続けています。当然のことですが、中には深刻すぎて私たちでは解決できない課題もあります。ただ、それでもできる限り一人ひとりに寄り添うことを大切に考えています。それによって、これまで孤立しながら生きてきた学生たちに「私は一人ではないのだ」ということを体験し、実感してもらいたいと考えるからです。

卒業して社会に出ても彼らは多くの試練にぶつかることでしょう。もしかすると再び孤立し、サポートしてくれる人を見つけることが難しくなるかもしれません。ただ、そのような時もカパティランで経験した共生の経験を生かし、今度は彼ら彼女らが他者を支援する存在となることで、「一人ではない世界」を実現する一助となってくれることを願います。そして将来的には彼ら、彼女たちが「地の塩」として社会全体に少しでも良い影響を与えることができれば、それに勝る喜びはありません。

最後に、カパティランの活動を支えてくださる皆様に改めて心から感謝を申し上げます。

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